山田一雄の世界
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 ヤマカズさんを指揮者と呼んで異論はないと思いますが、キャリアの最初は作曲家であり、ピアニストでもありました。その作曲家としての(あまり知られていない)ヤマカズさんの活動と創作作品をまとめてみました。ただ、資料が乏しいために、掲載していない作品や、細かい点で間違っているものもあるかと思います。
 音楽之友社刊の「日本の作曲20世紀」に期待していたのですが、本業としての作曲家並みの扱いはともかく、その他大勢の中にも入っていない・・・まったく掲載されていなかったのにはガッカリでした。追々、資料を漁って追補していきたいと思います。
楽団プロメテ
 時々の作曲家や演奏家たちは、音楽的に同調する者同志等が結びついて、音楽創作集団(作曲家グループ)を結成しました。ヤマカズさんも「プロレタリア音楽同盟」「楽団創生」など幾つかの集団を結成したり、参加したりしましたが、ヤマカズさんの集団として最も有名なものが「楽団プロメテ」です。
 「楽団プロメテ」は、1939年初夏に、ヤマカズさん始め、作曲家の安部幸明、尾崎宗吉、小倉郎、原太郎、深井史郎氏、新交響楽団メンバーの松本善三(戦後、東響、東フィル、群響のヴァイオリン奏者)桑沢雪子(戦後、ラモー弦楽四重奏団主宰)喜安三郎(戦死)井上頼豊(戦後、東フィル等のチェロ奏者、合唱指揮者)氏、評論家の山根銀二、園部三郎氏によって結成されました。名前の「プロメテ」は、ギリシャ神話の「プロメテウス」によるもので、「ゼウスの怒りによる極刑を受けながらも、人類に火を与えたプロメテウスのように、どのような犠牲をも越えて文化の火を点し続けて行こう」という意味を持っています。創作と演奏と批評の3つの分野が統一して仕事をするという意図で結成されましたが前年に施行された国家総動員法による情報局からの圧力により、わずか2回の演奏会を持っただけで消滅してしまいました。その演奏会データは「演奏記録」のコーナーに掲載しています。
山田和男主要創作作品一覧

2002年5月30日掲載/10月5日更新

作品
編成
初演
備考
1931年
短詩 ピアノ
闘争-短詩 ピアノ
1932年
くちづけ(作詞 薄田泣菫) 独唱、ピアノ
幽思(作詞 石川啄木) 独唱、ピアノ
白壁(作詞 島崎藤村) 独唱、ピアノ
1934年
弦楽四重奏曲「三つの古典的な断章」 弦楽四重奏
日記-樹と性欲 ピアノ
"Shizuka"に捧ぐ ピアノ
春の朝(作詞 ブラウニング、訳詞 上田敏) 独唱、ピアノ
樺太の越年(作詞 村尾獲郎) 独唱、ピアノ
1935年
ピアノのための「一つの感想」
1)亡霊の蠱惑の歌〜狡猾と巧眩の薄笑い〜
2)いらへなき処女の悒愁〜純潔な焔の儀〜
3)行進曲「陽の光を与えよ」〜自由を我等に!〜未完
ピアノ
ピアノのための「アンプロヴィザシオン」 ピアノ
若者のうたえる歌 チェロ、ピアノ
弦楽四重奏曲「彼の随感から」 弦楽四重奏、ヴァイオリン、チェロ、コントラバス
コクトー・三題 1)5月の朝 2)少年水兵 3)踊子
(訳詞 堀口大學)
独唱、ピアノ
1936年
日本俗謡による前奏曲 3管編成管弦楽
約11分
1937年 山田耕筰指揮 日本放送協会
管弦楽募集懸賞第1席
弦楽四重奏曲第1番 弦楽四重奏 1936年12月放送初演
猫(作詞 堀口大學 ) バリトン独唱、ピアノ
カンタータ「辯髪の時代から」
(作詞 ハイネ、訳詞 生田春月)
ソプラノ独唱、女声合唱 管弦楽
春宵語 ShunShoGo(作詞 城左門) 朗読、管弦楽
1937年
交響楽詩「若者のうたへる歌」 3管編成管弦楽
約11分 
1938年2月25日
ジョゼフ・
ローゼンストック指揮新響
新響第2回
邦人作品コンクール入選
エレガンス フルート、オーボエ、バスーン
2つのエレガンスよりII(IIのみ) フルート、オーボエ、
クラリネット×2、
バスーン、トライアングル、チェレスタ
午後(作詞 堀口大學) 独唱、ピアノ
スキー(作詞 春山行夫) 独唱(管弦楽伴奏つきもあり)
溝(作詞 佐藤一英) 独唱
(室内オケ伴奏付あり)
室内オケ版は
ワインガルトナー賞
2等入選
小さな小さなクリスマス(作詞 菊岡久利) ソプラノ独唱、
フルート、ハープ、チェロ
1938年
舞踏曲「白夜」 2管編成管弦楽
約11分
1938年
山田和男指揮
貝谷八百子バレエ団公演
フルートのための「二つの唄」作品14 フルート、ピアノ
もうじき春になるだろう(作詞 城左門) 独唱、ピアノまたは管弦楽
(オリジナルは弦楽四重奏と管楽器)
春(春がきた)(作詞 風巻景次朗) 独唱、ピアノ
海水浴(作詞 堀口大學) 独唱
祝祭(作詞 北川冬彦) 独唱、ピアノ
髪の花(作詞 菊岡久利) 独唱
(弦楽四重奏伴奏付あり)
1939年
序曲「荘厳なる祭典」 2管編成管弦楽
約13分
1939年
国民詩曲「交響的木曽」作品12 3管編成管弦楽
約18分
1940年放送初演
山田和男指揮
NHK委嘱
無伴奏チェロ・ソナタ チェロ 1939年12月24日
蚕糸会館 井上頼豊
楽団「プロメテ」
第2回演奏会
みのむし(作詞 勝田ウメ) 独唱
果樹園(作詞 風巻景次朗) 独唱、ピアノ
1940年
三幕よりなるバレエ音楽「呪縛(印度)」作品13
(交響組曲「呪縛」)
2管編成管弦楽
約16分
1940年
山田和男指揮
貝谷八百子バレエ団
第3回公演
喜遊曲 1管室内オーケストラ 1940年 ジョゼフ・
ローゼンストック指揮
川奈バレエ団試演会
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ作品15 ヴァイオリン、ピアノ
高原(のちに「宮沢賢治・三章」) 独唱、
ピアノまたは男声合唱
1942年
響ありき 作品17(交響詩曲「皇軍頌歌」第一曲)
(作詞 三好達治)
2管編成管弦楽
混声合唱 約14分
1942年
山田和男指揮
聖戦5周年楽壇総動員
大演奏会
1943年
バレエ「バリ島の月」 フルート、クラリネット、弦楽四重奏、打楽器、
ピアノ
1943年2月
山田和男指揮
貝谷八百子バレエ団
第4回公演新作発表会
ソナティネ ピアノ
1944年
おほむたから(大みたから)作品20 3管編成管弦楽
約20分
1945年1月1日放送初演
山田和男 日響
朝日新聞社委嘱
戦列に 作品22 2管編成管弦楽
約12分
1945年1月1日放送初演
山田和男 日響
二つの慰安曲 管弦楽+Vn 1944年6月25日
山田和男指揮日響
辻久子提琴独奏会
日本の歌(作詞 深尾須磨子) アルト独唱、女声合唱、
2管編成管弦楽または
ピアノ、フルート
約13分
1946年3月4日
山田和男 日響 
三宅春恵
小交声曲「提琴の音によせて」
(作詞 深尾須磨子)
ソプラノ、アルト、
バリトン、女声合唱、
2管編成管弦楽
(ピアノ伴奏)約16分
1944年 荻野綾子追悼
1945年
夜曲ノットゥルノ 作品23 フルート、ピアノ 1945年10月10日
吉田雅夫、山田和男
現代音楽第2回試演会
麦踏み クラリネット 北爪利世 藤蔭美代枝第2回公演
組詩「祖師ケ谷より」 
 1)序詩 2)祖師谷 3)道しるべ 4)釣鐘
 5)小径 6) 葦 7)花鳥 8)杢太郎さん 9) 暗闇
 10)小屋ずまい 11)intermezzo 12)結び
 (作詞 深尾須磨子)
ソプラノ、ピアノ 1946年6月2日 現代音楽
第5回オーディション
1946年
交響詩「奈良より」 管弦楽 1946年3月23日
山田和男指揮
日本音楽連盟
公募作品発表会
映画「浦島太郎の後裔」の音楽
ノットゥルノ リ々子のためにNo.2 フルート、ピアノ
チャイコフスキーのバレエ音楽「白鳥の湖」の編曲
(スコア、パート譜入手不能のため
             ピアノスコアから編曲)
管弦楽 1946年8月 帝国劇場
山田和男 東宝交響楽団
東京バレエ団公演
(貝谷八百子、小牧正英)
1947年
ノットゥルノ 作品23の3「intermede」 フルート、ピアノ
1949年
秋三題 1)栗の毬の 2)コスモスの花
    3)土堤の尾花 (作詞 多田三七)
ソプラノ独唱、ピアノ
1952年
新鸞 管弦楽 ラジオ東京連続小説の音楽
風の又三郎(のちに「宮沢賢治・三章」) ソプラノ独唱、
ピアノまたは男声合唱
島根県立安来高等学校校歌 歌唱
1953年
柳ちる町(作詞 喜志邦三) 独唱 NHKラジオ歌謡
幼なき歌抄(作詞 野上彰) 朗読、ピアノ
遥かな花(作詞 深尾須磨子) 独唱、ピアノ
1954年
貧しき贈物 (作詞 藤浦洸) 独唱/室内オケ伴奏もあり NHKラジオ歌謡
あなたには聞こえませんか 管弦楽?  NHK音楽物語
1955年
市場帰り(過去2作と「宮沢賢治・三章」として
                     発表)
ソプラノ独唱、ピアノ
1956年
シンフォニエッタ(小交響曲「名人」) 1管編成室内管弦楽 1956年9月10日
第一生命ホール
山田和男 新室内楽協会
新室内楽協会
第2回発表演奏会
蜂のうた(作詞 深尾須磨子) 独唱、ピアノ
1958年
日本の歌(作詞 深尾須磨子) ソプラノ独唱、
2管編成管弦楽
1959年4月8日放送初演
伊藤京子 山田和男
大阪放送交響楽団
小さなメロディ(同人名簿) 独唱 ピアノ
1959年
小カンタータ「わが皇子とわが妃」
(皇太子・美智子賛歌)
合唱 管弦楽
1961年
こっこのおにごっこ(作詞 若谷和子) 童謡
1962年
管弦楽曲「東北民謡」 管弦楽
1963年
歌えわれら(作詞 丸山重威) 混声八部合唱、
ピアノ、グロッケン
1963年10月24日 
東京厚生年金会館
田中信昭指揮東京六大学
混声合唱連盟
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